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今日~かーら三週間♪

めっざっめーちゃだめだよべいべっ

隕石が降ってきて地球が滅亡すると聞いたので相対性理論の小学館を聞きながら古ハル妄想してたらキョンとハルヒの話になってました。短いしアレだけどせっかくなので日記にでも載せとくよ!
小学館聞きながら書いたので小学館聞きながら読むことを強くおすすめします!1周する時間で余裕で読み終わるよ 曲まんまなので曲知らない方にはなにがなんだかわからないことになっていますが仕様です。曲知っててもなにがなんだかわからないのはいつものことです
スピリッツもMONSTERも読んだことないので適当になってごめんね




小学館なキョンとハルヒ



「スピリッツは?」
「……何?」
 狭苦しいあたしの部屋の中、床に寝転んで読み飽きた漫画雑誌をめくるキョンに問いかける。退屈を持て余した覇気のない目が、おそらく同じような目をしたあたしを見る。彼の眉間にしわが寄った。思い当るところがないらしい。
「何のことだ?」
「スピリッツ。小学館の。ビッグコミックスピリッツ? だっけ。週刊のやつよ」
 キョンが気だるげに起き上がって床に胡坐をかく。三週間前の週刊少年ジャンプを開いたまま、「ああ」と呟いて頭に手をやった。見飽きたポーズだった。
「ねえよ、んなもん。読んでる漫画ねえし、買ってないからな」
「なんでよ。ちゃんと買っときなさいよ」
「ないもんはない。ここにないんだから、もうどこにもねえんだよ。な?」
 諭すような口調。困ったような、諦めたような、どこか疲れのにじむ表情。やれやれ、という言葉が今にも聞こえそうで、けれどキョンはそれ以上何も言わなかった。カーテンを閉め切ったあたしの部屋の窓の外には今、なんにもない。地球がなくなって今日で三日、三週間眠って起きたら、何故だかそんなことになっていたのだ。
「……古泉くんなら絶対持ってきてくれたわ」
 手のひらを握りながらそう言うと、キョンが仏頂面で紙面に目を落とす。面白くもない、何の新しさもない、打ち切りになるはずだったろう漫画の見開きページで、主人公の男が武器を手に勇ましく叫んでいる。なにかを守ってみせるとか、この街が、世界が、だとか、大事な人たちがどうとか。頭に残す価値もない台詞を真顔で。
「あんたじゃ気が利かなくて全然だめだわ。つまんない」
「そうは言ってもな。俺たちしかいないんだからしょうがねえだろ? つまらんってのには俺も同意だ。ヒマすぎる」
 重みのない言い方をして、キョンはあたしの部屋をぐるりと見回した。我ながら特に面白いもののない部屋だ。勉強机、ベッド、無地のラグマットの上に折りたたみ式のローテーブル、みくるちゃんからもらったお茶を入れたティーカップ二つにティーポッドひとつ、服の詰まった棚、それからさして大きくない本棚。並んでいるのは読み古しの本ばかりで、この広大な退屈をしのぐにはあまりに頼りない。有希から借りていた分厚い本ももう読み終わってしまった。しかも返しに行くことができないから、新しいのを貸してもらうことさえできない。
「外に出たいわ。家に閉じこもってたって何にもならないもの」
 キョンは遠い目をして、光ではなく景色を遮るためのカーテンを眺めている。見渡す限り、この家の他になにもない地球。なにもなくなるまでの三週間、大洪水だか大混乱だかに耐えるために、この家の扉と窓は外からも中からも開かないようになっているらしかった。最後の夜に、古泉くんがそんなことを言っていた。正確には、古泉くんがキョンにそう言っているのを、あたしは夢うつつに聞いていた。古泉くんはあたしには、今日から三週間どうか眠っていてください、としか言ってはくれなかった。ひきつったような顔で笑う彼の穏やかなお願いを、祈るようにあたしを見つめる瞳を、キョンに何事かをしきりに頼み込んで、ゆっくりと部屋を出ていく後ろ姿を、あたしはまだはっきり覚えている。
「……ま、もう少しの辛抱だろ。そのうち何かが変わるさ。明日になれば太陽だって昇ってくるかもしれん」
 でもきっとそういうことを、あたしもキョンもそのうち覚えていられなくなるんだろう。あたしの目を見て、キョンが力なく笑う。希望的観測というよりは、まるでそうなると知っているような口ぶりだった。いつかの春に見た悪夢のことをうっすらと思い出す。新しくて楽しい世界が始まりそうな、胸が高鳴る、それはそれは酷い悪夢。
「SOSって、どっかに発信できないかしら」
 薄暗い部屋で、あたしは低い天井を見上げる。
「救助信号を出したとして、それで宇宙人が見つけてくれればいいんだがな。未来人でも、なんなら異世界人でもいいけどよ」
 乾いた笑いと共に、キョンがつられて上を見る気配がした。ページを押さえる手を離したのか、開かれていたジャンプがばたんと閉じる音がした。
「スピリッツ持って、古泉くんが来てくれたらいいのに」
 ここにないんだから、もうどこにもねえんだよ。キョンは同じ言葉を軽々と繰り返す。分かっている。ここにいないんだから、もうどこにもいないのだ。あたしの見知った、見飽きた、つまらない、平凡な地球はなくなってしまった。
「……退屈だわ」
「まったくだ」

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